
ファイナンシャルプランナーとして、良くも悪くもお金の顛末を知る者として「やってはいけないことって、そう多くはないんじゃないかな?」って思っています。
だから、仕事の取り組み方はシンプルに考えるようにしています。
ごちゃごちゃ考え過ぎて結局、お客様を見れなくなっている事例に触れることは少なくありません。
誰にでも分かりやすい例え話に触れながら話しを進めましょうか。
数字とグラフの嘘は裏切り
裏切ってはいけないことは、数字における展望です。
なんで一般のお客様が、不動産会社や工務店が、私たちファイナンシャルプランナー(FP)を頼るんでしょう?
今や、インターネットに無料のライフシミュレーションソフトだって幾つも掲載されているのに。
お金という数字がこれから先、どんな時に、どれだけの量が必要になって、果たして暮らしていけるのか?
その想像の付け方さえ分からないからですよね。
見えようがないことだから、プロに声を掛けています。
だから『数字のこれから(展望)』に嘘をつくことが何よりも裏切ってはいけないことだと思います。
当たり前ですか?
そう当たり前なんです。
その当たり前の点で嘘をつかれるなんて、思いもしないですよね。
だから、次に話すようなことが起きてしまうんでしょう・・・
紹介でも鵜呑みにしない!
こんな状況をあなたなら、どう考えますか?
ご相談者は、65歳を過ぎ定年退職を果たした方。
その後の働き口は無く、今後、働きにでるつもりもない。
子ども達は結婚し、二人暮らし。
住まいは持ち家であるマンション。
各種設備は、確かに使い続けられないかも知れない状態。
総資産は、貯金と退職金を合わせたもので1,000万円ほど。
退職金が入ったからリフォームを検討している。
老後資金である総資産のうち、半分は使う内容でリフォーム工事の見積もりは出されています。
リフォーム会社から紹介されたファイナンシャルプランナーはライフシミュレーションをしたうえで、「できますよ。」と回答したんです!
いかがですか?
もう想像はつきましたよね。
極端に分かりやすい実例を取り上げてみました。
これが現実なんです。こういう現実なんです。
珍しくもないんです。
細かく事情を言わなくても、たったこれだけの内容でもお客様の暮らしの先行きが不安になりませんか?
ファイナンシャルプランナーの立場でありながら不安にもならずにGOサインを出せるのは、お金に詳しい・詳しくないではなくお客様に興味も本気度も無いだけなんですよね。
お客様を見ていないんです。
このファイナンシャルプランナーは、お客様を紹介してくれるリフォーム会社だけを見て、先方に尻尾を振っているだけ。
こういうファイナンシャルプランナーと繋がっているリフォーム会社は、お客様の『リフォームがしたい!』という気持ちを逆手に取って、お金を引き出すことにしか関心がないんですよ。
ファイナンシャルプランナーにもリフォーム会社にも、呆れるを通り越して何と言っていいのか分かりませんね。
CMを流す大手の不動産会社や展示場に出店している大手ハウスメーカー、大小問わず工務店。
これらから紹介を受けることが自身の集客のメインにして生活しているファイナンシャルプランナーの典型です。
案件紹介とキックバックの関係の手回しされたチーム編成。
ファイナンシャルプランナー界隈では、有名な手口です。
そういう人たちと『一緒くた』にされたくないから、先ほどの企業とは提携をしないファイナンシャルプランナーは今や大勢います。
誠実に仕事をしたい、自身にもお客様にも嘘をつきたくないからです。
私に相談をしてくださったお客様は、セカンドオピニオンとして話を聞きに来てくださったから目を覚ましたから良かったものの・・・
紹介者の不利益に興味ありません
ちなみに、私は例え定期的に案件を振ってくれる不動産会社に対しても、その会社が不利益となる結果を平気で、お客様に現実の話をしています。
成約直前の案件をひっくり返したこともあります。
取り扱いエリアを八王子市だけに絞り込むと決めて特化している売買専門の不動産会社。
その社長からのご指名案件でのこと。
もうお目当ての物件は内見していた状態。
お客様は大工さん。
だからこそ物件の仕上がりで目に付いてしまう箇所があったそうです。
ただ、「ここまで丁寧に、とても頑張ってくれているんだよな。この物件で買ったほうが良いのかな・・・?でもな・・・」と思ってしまっていたそうです。
不動産会社からは、購入の最終確認としてコンサルティングをしてほしいという依頼でした。
お客様の優先事項の話から整理していったら、先ほどの本音を私に打ち明けてくれたんです。
物件購入は見送ることに。
当たり前に不動産会社の社長も驚いていましたが、その社長はクレームなんて言わなかったですよ。
お客様の収入などを確認して接客に当たっていたと思いますが、一生懸命に接客をしてくれているからこそ言えない本音ってお客様はあったりしますよね。
社長「契約にならなかったことは正直、惜しい気持ちは確かにある。けど、こういう真実を出して欲しくて頼んでいるんだ。次は、将来も安心して頂ける物件を探して提案するだけだな!」
その熱意のままで居てほしくて、その社長には伝えていませんでしたがお客様は「あの方から、どうしても買いたいんです!探し直しにはなりますが、がんばってみます。」と言っていました。
そして半年後、物件そのものも気に入り、条件も見合った家に巡り合うこととなり無事にご成約に至ったと報告がありました。
誠実な接客をしたうえで、誠実な対応を専門家に求める姿勢。
これこそ、お客様が信じたそれまでの行動の裏付けとなります。
自分の言動に嘘偽りがないことに誇りを持っているってことですね。
こういった方からの依頼には、やっぱりこちらも背筋が伸びます。
不動産業界は結果商売と言われます。
だから、他社に行かれないように、行かれないようにと無理がある接客も耳にします。
「この方から!」そう言ってもらえるのは、当然です。
本当に提供しているもの
嘘を付くかどうか・・・
ここは、知識とかやり繰りのプロの手腕ではなくて、仕事への覚悟の話。
本当に必要な覚悟って、なんでしょうね?
プロとしては当然に覚悟は必要かも知れませんが、お客様もまた覚悟って本当は必要なんじゃないでしょうか?
多少の無理をしても覚悟を持ちましょう、なんて話じゃないです。
覚悟は、お客様が無理くり持つものではないです。
やはり、ここも私たちの仕事です。
私たちファイナンシャルプランナーや不動産会社など、暮らしやお金に携わる者の責任は数字の成り行きだけを提供していても仕方ないと思います。
人当たりの良さなんていう表面上のことじゃなくて、言った方が良いことはしっかりと伝えたうえで、お客様が本音を話したくなるコンサルティングを心掛けています。
これからをお客様と一緒に考えていかなければ意味が無いんですから。
こんな私ですから、苦手な人は苦手だと思うんです。
でも、それで良いんです。
結局はお客様が「この人には、自分のことを話しても良いかな?」と思ったかどうか。
もう、ここですよ。
直感に従って良いです。
私も直感タイプ。
直感から「なんかイヤな予感がする。」と思うと、どこなのかを探し始めるとやっぱりあるんですよね、不自然や良くない方向にいく原因。
はじまりから気持ち良くないなら、誰にとって良い関係なのか?
正直でいいです。正直でいきましょう。
まとめ
いかがでしょう?
たったひとつ、裏切ってはいけないことは、シミュレーションやグラフで嘘をつかないこと。
嘘を付く背景には、さまざまな『お客様には一切関係のないしがらみ』があるだけです。
簡単な話しなのに、情報にはお金を払う文化にまだまだ至っていない現実だから、ファイナンシャルプランナーとして情報提供で生活していくには苦しく簡単ではない話・・・
何の言い訳にもならないけれど、気持ちだけは察します。
あなたの将来に必要なお金と、あなたの家庭で使って良いお金の量、それらをきちんと知ってから大きなお金は動かすようにしてみてください。
いろいろと知りたくもない実態の話をしましたが、切に願うこと。
自分の足で生きていける自分自身を作っていける暮らし方をしてほしい。
ファイナンシャルプランナーの私のお仕事は、その基盤づくりのお手伝いをすることです。
ご相談、お問い合わせ、お待ちしております。